セルフハンディキャッピングとは?メリットとデメリット解説

「ここぞと思った時には、能力を目いっぱい出し切りたい!そして、納得のいく結果と評価も得たい!」
誰もがこんなふうに思っているものです。
そんな時は

  • 試験の前にはその勉強
  • プレゼンの前にはその準備

こうしたことをバッチリするべきですよね。
それなのに、こうした準備が必要な時ほど、その準備をする気持ちにブレーキがかかってしまうことがあります。
あなたも、勉強をするべき時になかなかやる気が出ないことって、あったのではないでしょうか?
実は、これ「セルフハンディキャッピング」という、誰もが持っている心理作用のせいなのです。
 
そこで、今回はこの「セルフハンディキャップ」についてご紹介していこうと思います。
 
この「セルフハンディキャッピング」を理解することで、あなたの無用な心のブレーキを外すことができます。
これはあなたの人生の時間を有効に使うことにつながりますから是非学んでいって下さい。
では詳しくお伝えします。
 

セルフハンディキャッピングとは?

セルフハンディキャッピングとは、セルフ(自分)にハンディキャップを与えることです。
ハンディキャップといって思い描くのはゴルフでしょうか。
ゴルフでハンディキャップをつけるということはごく普通に行われていますね。
そうして競技をした場合、ハンデをかけられた人が負けることも当然あります。
 
しかし、そんな時
「ハンデがあったから仕方がない」
と、いうことができます。
これは自分にも、周りの人にも納得できる「言い訳」となり得ますよね。
こうした「言い訳」を「自分自身」に使うこと。
 
この心の動き方を「セルフハンディキャッピング」と呼ぶのです。
 
だけど、「言い訳」なんて、良い印象のない言葉ですよね。
「自分に言い訳しているなんて嫌だな」なんて落ち込んでしまうかもしれません。
でも、そんなに落ち込まなくても大丈夫です。
セルフハンディキャッピングの実験を知れば、みんな同じと思えて気が楽になるはずですよ。
 

セルフハンディキャッピングの実験

この実験は、心理学者のスティーヴン・バーグラスとエドワードEジョーンズが行ったものです。
被験者は、複数の学生です。
この学生たちに、彼らには解けそうもない難解なテストをしてもらいました。
 
そして、テストの結果を点数では出さず、学生ひとりずつに「あなたは満点だった」と聞かせました。
 
それからもう一度今のテストと同程度のテストをすると伝えたのです。
この時2回目のテストの前に、生徒たちに次の質問をしました。
 
「ここに『能力が上がる薬』と『能力が下がる薬』があるとしたらどちらを飲みたいか?」
この時、学生の多くが選んだのは「能力が下がる薬」だったのです。
これはどういうことでしょうか?
 
そう答える理由は、難解なテストで、点数に自信がない学生が「満点」と言われたことがカギになっているのです。
「満点」と言われたら、次のテストではそれより悪い点を取りたくないと思いますね。
 
しかし、この難解なテストでもう一度満点を取る自信はありません。
そこで、「能力が下がる薬を飲めば、点数が悪くても薬のせいにできる」と、考えてしまう…ということです。
面白いですよね。
 
こうして「人は、悪い結果が予想される場合、悪くなった時の言い訳をあらかじめ用意する」という心理傾向、すなわちセルフハンディキャッピングが提唱されることになったのですね。
このようにセルフハンディキャッピングは、多くの人が持っているものです。
これは日常でも使われています。
 
例えばどんなものがあるのか、私たちの周りで起きているセルフハンディキャッピングの実例をいくつか挙げてみますね。
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セルフハンディキャッピングの例

セルフハンディキャッピングには、行動でおこす
「獲得的セルフハンディキャッピング」
そして、言葉で表す
「主張的セルフハンディキャッピング」
があります。
 
まずは、獲得的セルフハンディキャッピングの例からご紹介しましょう。
 

獲得的セルフハンディキャッピング

ゲームをしたりマンガを読んだりする

学生の頃って、宿題がたくさん出た日に限って、ゲームやマンガに夢中になったりしますよね。

 
これは「ゲームやマンガに夢中だったから、宿題ができなかったのだ」そういう言い訳を、自分自身にしたいためにおこることです。
年齢が低いほど、こうしたセルフハンディキャッピングは多いでしょう。
では、大人になるとどういうことをするのでしょうか?
 

掃除を始める

やらなくてはならないことがある時ほど、掃除を始めてしまう。

「普段はしない整理整頓に身が入ってしまう」なんてことは、年齢が高い人におこりがちです。
 
ゲームやマンガは遊ぶことです。
一方、掃除は仕事にも、人の役にも立つことです。
セルフハンディキャッピングの道具として「掃除」を使うのですね。
「掃除は必要なことだから、やるべきことが多少おろそかになっても仕方がない」
という、やるべきことができない上手い言い訳になるわけです。
 
また、掃除以外にもセルフハンディキャッピングの道具にはこんなものも使われます。
 

仕事をたくさん入れる

大切なプレゼン、契約相手との会合など、重要な日がせまるほど、仕事を自ら増やす人がいます。
仕事が詰まっていると、大事な時のための準備がなかなかできませんよね。
 
「しかし、仕事が終わらないのだから仕方ない・・」
当人は無意識の内にそう思って、大事な日の前に仕事を集めているのです。
 
また、時には体を張ったセルフハンディキャッピングもあります。
 

体調を悪くする

これは仮病で、仕事や学校を休むのに似ているかもしれません。
カラオケ大会やゴルフ大会に出なければならない…
そんなお付き合いもありますね。
そこで、無理な歌の練習や、ランニングなどをして体調不良を起こします。
 
そして当日、結果が思わしくなくても「練習をし過ぎたから仕方ないさ…」と自分に言い聞かせることができるわけです。
変わり種としてはこんな例も。
 

婚活

婚活に対してセルフ・ハンディキャッピングがある人は、相手への希望に、あえて高い望みを作ることがあります。
年収や容姿のハードルを上げれば、条件に合う相手は少なくなりますね。
そこで婚活に失敗しても
「理想に合わないのだから仕方ない」
と、思うことができるわけです。
もったいない・・。
 
さて、「獲得的セルフハンディキャッピング」 の次は「主張的セルフハンディキャッピング」の例をご紹介しましょう。
これは「主張」とある通り、周りに向けて「できない理由」を表明するものです。
 

主張的セルフハンディキャッピング

試験当日

学生時代によくいましたよね。
テストの時、
「全然勉強してないんだけど!」
「オレ、この教科苦手だからできないかも」
という人。

と、たとえ前日に猛勉強していても、周りにそう言っておくわけです。
これは、結果が悪い時の言い訳になりますよね。
今思えばほとんど全員言ってた気が…。
 

カラオケ大会

前もって、声を枯らしてしまうのは「獲得的セルフハンディキャッピング」でしたね。
それが「主張型セルフハンディキャッピング」になるとこうなります。
 
歌う前から「私、音痴だから・・」「最近の歌知らないから・・」と、周囲に訴えるわけです。
ぶりっ子がこれやって、歌ってみたら上手かったりすると皆、内心(またか・・。)と思うものです。
 

ふたりの将来について

恋人は交際が長くなると、ゴールインを考え始めますね。
そして、彼女の方から「お父さんに会って欲しい」なんて言うことも出てきます。
こんな時、彼が
「大切なプロジェクトがあるから」「いい日柄を選ぶまで待ってて」
などと主張してきたら、それはセルフハンディキャッピングがかかってると思っていいかもしれません。
 
結婚するかしないかハッキリさせましょう。
 

贈りもの

最近では少なくなっているかもしれませんが、人に何かを贈る時「つまらないものですが」と言って、相手に渡すことがありますね。
これも心理学的にはセルフハンディキャッピングのひとつと捉えることができます。
礼儀として、と言うのももちろんありますが。



以上、たくさんの事例を見てきましたが、どうして人はそんなことをするのでしょうか。
 
どの事例を見ても、そこまでして何がしたいの?
なんて思ってしまうかもしれませんね。
でも、ここには人ならではの重要な理由があったのです。
 

セルフハンディキャッピングの原因は?

セルフハンディキャッピングは誰にもおこるものです。
それは、誰もがもっているものが原因だからです。
誰もが持っているもの?
それは「自信」です。
自信がまったくない人なんていませんよね。
たとえば、人は「歩ける自信があるから、歩いている」ということが言えます。
 
また、次の日まで生きている自信があるから、夜の眠りに落ちるのです。
さらに、人は「自分はそのままでは空を飛べない」などの「できない自信」も持っています。
この「できる自信」と「できない自信」がしっかりしている時には、セルフハンディキャッピングは現れません
こうした、ゆるがない自信があることで、人の心は安定しているからです。
 
しかし、人生の中では、この「できる自信」と「できない自信」がはっきりしていないことが多いものです。
そして、人はこのような「はっきりしない状態」を「自信がない」と表現します
これは、心が不安定になっている状態ですね。
 
心はこの不安定な状態になった時、危険を感じます。
あなたも、ぐらぐらした橋を渡る時は危険を感じるでしょう。
心もそれと同じなのです。
そこで、心は「この不安定を何とかする方法はないのか」考えます。
その方法こそが「セルフハンディキャッピング」なのです。
 
心は「できてもできなくても、自分も周囲も納得がいくようにすること」をセーフティーネットにしました。
ぐらぐらした橋も、ネットが張ってあれば安心ですよね。
 
そこで、心も結果が出る前に「言い訳」というセーフティーネットを張るようになったのです。
そうすれば「できた自分」と「できなかった自分」のどちらに落ちても安心が得られますから。
 
このことから
「セルフハンディキャッピング」の原因は「不安定な自信」
と言うことができるでしょう。
こうして原因が分かると、先にご紹介した実験での結果もなるほどと思えてくるでしょう。
実験での学生は、自分には難しい問題だったにも関わらす、正解していると言われて「できない自信」が揺らぎました。
 
この揺らぎが「不安定な自信」ですね。
 
そこで、次にまた難しい問題を解かなければならない時、「能力が低下する薬」を事前に選んだのです。
こうすれば、次の問題に正解しなくても、自分も周りも納得できると思ったからですね。
 
人は「自信がある」と思ってやった事の結果が悪かった時、屈辱感を感じます。
しかし一方で、やる前から「自信がない」とハッキリ言うことにも本当は屈辱感を感じます。
 
この、2つの屈辱感を避けるためにもセルフハンディキャッピングは行われるのですね。
ご紹介した数々の例でも、各々の言い訳は、心を守るために実行されたことだったのです。
 
でも、たとえ心を守るためとは言え、言い訳ばかりするのは嫌な感じです。
そう思うと「セルフハンディキャッピング」なんかない方がいいのではないか?
思わず、そんな気持ちになります。
 
しかし、これは心の防衛本能。
つまり、心のためになるメリットもちゃんとあるということ。
そこで、次の項では「セルフハンディキャッピング」のメリット、デメリットをお伝えしたいと思います。
 

セルフハンディキャッピングのメリットとデメリット

セルフハンディキャッピングは、社会的な生き物であるヒト特有の心理です。
そうした、ヒト特有の心理にはメリットとデメリットがつきもの。
いわゆる、両刃の剣というやつですね。
この両刃の剣を有効に使うためにはコントロールが必要です。
 

セルフハンディキャッピングのメリット

心を守る効果

セルフハンディキャッピングというのは、防衛本能のひとつです。
心を守ることができるのですね。
「プライドを守る」と言い換えると解りやすいでしょう。
たとえば、掃除やゲームをしたせいで、勉強がおろそかにした場合、
その試験の結果が悪いなら、それは勉強をしなかったせい。
 
これは、勉強をしていれば、試験で良い結果が出せるはず…ということ。
そして「自分は単なるバカじゃない」と思うことができ、プライドは守られるわけです。
これこそがセルフハンディキャッピングの最大のメリットと言えます。
 
では、もしセルフハンディキャッピングをしなかったらどうなるでしょうか?
ここでは「自分には能力がない」と思い込んでしまうことになります。

これは、実はとても危険な思い込みなのです。
「自分には能力がない」という思い込みは、強くなると
「自分は役に立たない」あるいは「生きている価値がない」というマイナスな思考に流れていきます。
こうした考え方がひどくなると、うつなどの心の病気になりかねません。
 
さらに、悪くすると自傷行為という危険な状態にもなってしまいます。
セルフハンディキャッピングは、こうした心の危険を避ける効果があるのです。
そして、メリットはもうひとつあります。
 

自信を強化する効果

セルフハンディキャッピングの行動や言動をした結果は、悪い時だけではありませんね。

  • 勉強がおろそかになっても試験でいい点が取れた。
  • 「体の調子が悪いから」と言ってからやり始めた仕事がうまく行った。
  • 「歌は得意じゃない」と言って歌った時に、褒めてもらった。

こうしたことも、よくおこります。
そんな時、人は「自分はできるんだ」という思いを強くすることができるのです。
 
ここでのメリットは「できない状況でも、達成感を持つことができる」ということ。
つまり「自信を強化する」ことです。
不安定な自信が確かなものになることは脳にとっても気持ちのいいことです。
しかし、だからといって、セルフハンディキャッピングの効果ばかりに期待していると落とし穴が待っているので、要注意です。
 

セルフハンディキャッピングのデメリット

自己のプライドを守るセルフハンディキャッピング。
この効果は、多用するほどデメリットも大きくなるのが特徴です。
 

向上心がなくなる

言い訳をして、それが良しとなることが増えれば増えるだけ、それでいいんだとなりますよね。
つまりセルフ・ハンディキャッピングをすればするほど、向上心が無くなるのです。
 

内省しなくなる

セルフハンディキャッピングでは、勉強や仕事の努力をしない理由を作ります。
その努力ができないのは自分の責任ではないと思うなら、それは何でも人のせいにするとい
うことです。
そうすると、「どうすればうまくいくのか」ということを自分の中に求めなくなってしまいます。
 
自分の失敗を人のせいにばかりする人は、どうなるか。
成長もできませんが、やはり嫌われてしまいますね。
 

チャンスを逃す

人は言葉に左右されるところがあります。
「〇〇だからできない」と、言っていると、この「できない」という言葉に脳は注目してしまいます。
脳って本来、怠け者で楽な方に流れてしまうのですね。
 
そこで「できない」なら「やらない」という思考になっていきます。
こうなると、せっかくのチャンスを逃すことになります。
 
つまり、チャレンジ精神が低下するということですね。
でも、「自分はそんなことないけどな!」
と、不審に思う人もいるかもしれません。
そうならないのは、このセルフハンディキャッピングが性格や環境によっても現れやすい人と、そうでない人がいるからです。
世の中、そんな育ってきた環境や、生まれ持った性格から、無意識で言い訳をしまう人はいます。
そこで次は、どんな人がセルフハンディキャッピングを多用してしまうのかを解説していきましょう。
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セルフハンディキャッピングを使ってしまう人とは

成功体験が少ない

人は成功体験が少ないと自信を強くすることができません。
その自信の弱さが「言い訳」を作ってしまいます。
 

失敗が怖い

過去に「失敗の度にひどく叱られた」「恥ずかしい思いをした」
などの経験があると、二度と失敗をしたくないと強く思うものです。
そこから逃れようとして、何かをするたびに「言い訳」を作ってしまいます。
 

プライドが高い

成功や失敗の経験に関わらず、プライドの高い人はいますね。
こうした人も実は、心の底では失敗を恐れているのです。
高いプライドを保つために予防線として「言い訳」を多用してしまいます。
 
こうした傾向は、特殊な環境や状況にだけ現れるわけではありません。
誰にも多かれ少なかれ、当てはまる部分があると思います。
それでは、最後にそんなセルフハンディキャッピングを克服ための対処法をご紹介しようと思います。
 

セルフハンディキャッピングを克服する方法

セルフハンディキャッピングは、心の安定を図る機能ですが、これを野放しにしておくと本当の能力が発揮されず、発展できなくなるということはお伝えした通りです。
そこで、セルフハンディキャッピングを克服して、あなたの能力を伸ばしていくことにしましょう。
 

「言い訳」の自覚を持つ

まずは「人は言い訳をする生きもの」だと思うことが大切です。
そして、自分の発言に耳を澄ませましょう。
「今のは言い訳ではないのか?」
と、常に疑問を持つことで、自分が使っている言い訳の傾向を知ることもできます。
そうすれば「言い訳」にブレーキをかけることができます。
 

「できない」と言わない

セルフハンディキャッピングでやっているのは「できない言い訳」ですね。

  • 「掃除をしたので勉強できない」
  • 「苦手な教科だからできない」
  • 「仕事が多すぎてできない」

こうした宣言をすることをやめるのです。
そのかわりに
「自分はできる」
と宣言して下さい。
 
「できない言い訳」を「できる言い訳」に変えるのです。
言葉は脳をその気にさせる働きがあります。
ポジティブな言葉を使うようにしましょう。
具体的には
「掃除したので勉強する時間がなかった」という常套句を
「掃除をしたのだから、キレイな環境で勉強がはかどるはず」
 
または
「仕事が多すぎて、時間までにできない」なら
「仕事が多くても、私の能力なら時間内にできる」
などと宣言してみるのがいいでしょう。
 

成功のイメージトレーニングをする

このイメージトレーニングは想像以上に効果のある方法です。
たとえば「試験の高得点で、好きな人から絶賛されている」なんてイメージを作ります。
すると、もう失敗のことは考えられなくなりますね。
 
あるいは「仕事をばりばりこなした結果、出世して家族が大喜びしている」なんてイメージもいいでしょう。
上の対処法では「宣言」という言葉で脳をその気にさせるものでした。
なので、これは、映像で脳をその気にさせるものといえますね。
 

小さな成功体験をたくさん作る

これは特に、自信がないためにセルフハンディキャッピングを使ってしまう人に有効です。
試験の前には、解ける自信のある問題から繰り返してやってみます。
 
これは、過去問をたくさんさせるという、塾でもお馴染みの方法ではないでしょうか。
幼児教室でも、100点を繰り返し取らせることで自信をつけさせるところがありますね。

また、仕事でも自分のできることを一つずつ増やすことをしましょう。
それには、引き受ける時の仕事はひとつにすることが重要です。
複数の仕事を一度に引き受けて、やりこなそうとしないようにして下さい。
そうすることで、集中力が高まり、実際の成功率も上がることになります。
 

やるかやらないかではなく「やる」

とにもかくにも始めてしまいましょう。
世間では「やる気」が問題になりますが、実は「やる気」というのは、やり始めなければ出てきません
そして、その時は「やる」ことだけに集中します。
「できないかも」という弱気発言の付け入るスキを与えないために…です。
 

人はちっぽけな存在と思う

これは特にプライドが高くて言い訳をする場合に有効です。
プライドが高い人ほど「自分は特別な存在」と思っています。
それは正しい知見ですが、別の側面もあることを知りましょう。
人は十人十色といいますが、「ヒト」としてはみんな同じなのです。
楽しい時は笑い、悲しい時は泣きます。
 
さらに、地球という視点から見れば、誰もがほんの小さな点です。
これを自覚すれば、自分の持っているプライドがどれだけのものか判って来るのではないでしょうか。
「ちっぽけなのか…」と思う反面「なーんだ」という安心感が生まれませんか?
 

失敗した後も言い訳しない

チャレンジする前から言い分けをするセルフハンディキャップについては前述しました。
では、失敗してからの言い訳はいいのか?
…といったら、これもすべきではありません。
たとえば、失敗した後に長々といつまでも言い訳している人って、どんな印象でしょう。
恋人にはしたくありませんよね。
失敗した時は、非を認めて謝罪だけする人の方がカッコイイですから。
 
「言い訳することはモテない!」
このことがわかるだけでも、言い訳をすることを避けるようになるのではないでしょうか。
それはつまり、「自分自身にも言い訳を作らなくなる」ことにつながるのですね。
 

たくさんの人とつきあう

これは価値観を広げるための方法です。
あなたが思う「成功」や「失敗」と他の人が思う「成功」や「失敗」は違います。
例えば、「勉強ができない」ことを失敗と思っていない人もいるのです。
 
こうした人は勉強についてセルフハンディキャッピングが働きません。
 
また、違う人は仕事のできを重視しない場合もあるでしょう。
 
そして、そういう人は、仕事関係で言い訳をすることはしないと思われます。
そうした、価値観の違う人とたくさん交際することで、自分の視野を広げるのです。
そのうち、そんなことで言い訳しなくてもいいんだと思えるようになるでしょう。
 

謙虚か言い訳かよく考える

日本ではかつて、お嫁に行く時、嫁ぎ先では「ふつつかものですがよろしくお願いします」と言っていました。
これは「出来が悪いけど頼むね」という意味です。
そしてこれを「謙虚」と言っていました。
お嫁さんはだいたい、嫁ぎ先のお姑さんに気に入られません。
「あれもこれもできない嫁だ」なんて言われることが普通でした。
 
そこで「ふつつかもの」と最初に伝えておくのですからこれは立派なセルフハンディキャッピングといえますよね。
こう言っておくことで「出来が悪い嫁」と後で言われても「初めに伝えたじゃない」と、思うことができます。
 
本当はもっと複雑な状況だとは思いますが、このセルフハンディキャッピングは、お嫁さんを守るために考え出されたものかもしれませんね。
…これは「謙虚」と思っての発言も、セルフハンディキャッピングの場合があるということになります。
謙虚のつもりで発言する時は、それは言い訳ではないのかをよく考えてから発言しましょう。
 

失敗を恥ずかしがらない

これが一番難しいかもしれません。
というのも「恥ずかしい」ことは日本人にとっては忌むべきことだからです。

「恥ずかしいことをするな」と、私たちは教えられて育っています。
 
しかし、この「恥ずかしいこと」とは「人に迷惑をかけること」とか「世間に対して悪いことをする」というのが元だったでしょう。
物事に失敗をやらかして、親類縁者に迷惑をかける…なんてことが「恥ずかしいこと」だったのですね。
日本人には、こうして「失敗」=「恥ずかしい」の気持ちが植え付けられたのかもしれません。
 
しかし、誰でも失敗はするものです。
世の中に出てくる「成功」の話の裏には、その何倍もの失敗の話があります。

その人が「成功」したのは「失敗」を何度も重ねたからということ。
 
なので「失敗」をした時に「恥ずかしい」と考えるのはやめましょう。
そしてここは「成功にまた一歩近づいた」という考え方にするのがいいですね。
セルフハンディキャッピングの解説はこれで終わります。
人の不思議な心理の傾向がまたひとつ解って、あなたの好奇心は満たされたでしょうか。
それではここで、これまでのまとめをしておきますね。
 

まとめ

今回は、自信の持ち方が左右する「セルフハンディキャッピング」について解説してきました。
セルフハンディキャッピングとは

  • 自分にも周りにも納得できる言い訳になる、行動や言動をすること
  • 心理学者、スティーヴン・バーグラスとエドワードEジョーンズが提唱した

 
セルフハンディキャッピング例

  • 獲得的セルフハンディキャッピング・・試験の前に、ゲームや掃除をする
  • 主張的セルフハンディキャッピング・・試験の前に「体調が悪い」「自信がない」などと公言する

 
セルフハンディキャッピングの原因

  • 不安定な自信

 
セルフハンディキャッピングのメリット

  • 心(プライド)を守る効果
  • 自信を強化する効果

 
セルフハンディキャッピングのデメリット

  • 向上心がなくなる
  • 内省しなくなる
  • チャンスを逃す

 
セルフハンディキャッピングにかかりやすい人

  • 成功体験が少ない
  • 失敗が怖い
  • プライドが高い

 
セルフハンディキャッピングを克服する方法

  • 「言い訳」の自覚
  • 「できない」と言わない
  • 成功のイメージトレーニング
  • 成功体験を積み重ねる
  • とにかく「やる」
  • 人はちっぽけな存在と知る
  • 失敗の後も言い訳しない
  • たくさんの人とつきあう
  • 謙虚か言い訳かよく考える
  • 失敗を恥ずかしがらない

でした。
「俺はまだ本気出してないだけ」という日本の映画があります。
まさにこれはセルフハンディキャッピングの代表といえるタイトルですよね。
 
でも、こんなふうに思っている人は意外と多いのではないでしょうか。
それはまだ「若いから」と思っているからかもしれません。
 
大切な時間を無駄にしないためにも、セルフハンディキャッピングを克服してあなたも、実りある豊かな人生を送るようにして下さいね。
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