今回は限界効用逓減(げんかいこうようていげん)の法則について学んでいきましょう。
心理学用語としては言葉は難しいですが、実際は簡単な心理効果です。
今から30秒以内に理解できます。
ただ、大事なのは限界効用逓減の法則を理解してからです。
(じゃあどうしたらいいの?)って疑問が湧いてくるはずなので、それも解消していきますね!
それでは概要から御覧ください。
限界効用逓減の法則とは?
限界効用逓減の法則の概要
限界効用逓減の法則(げんかいこうようていげんのほうそく)とは、簡単に言うと「人は飽きる生きものだ」って事です。
はじめはよくても、徐々に飽きていくってことですね。
具体例を出しながら詳しく解説していきますね。
ビールの例
例えばビール!
スポーツや暑い日中に汗をかいたあと、まず飲みたいのが冷えた生ビールでしょう。
そこで見つけたビヤホールにスポーツ仲間と入ったとします。
最初にボーイさんが持ってきてくれた生ビールジョッキはキンキンに冷えていて一気に飲んだら美味さは格別でした。
この最初の1単位(一杯)の満足度(限界効用)は最高です。
あっという間に飲み干しますね。
つぎに頼んだ二番目のジョッキでは、もう少し生ビールを味わいながらゆっくり飲めます。
1杯目の限界効用ほどの感激はないですが、二杯目もよく胃袋に沁みわたる美味さです。
さて次の3杯目ではどうでしょう、つまみのソーセージ盛合わせを食べながらだったので、お腹もすこし一杯になってきます。
こうなるとビールの美味さよりも、ソーセージで辛くなった口や喉をうるおすのが目的となり、やや飲むのも惰性になってきます。
3杯目の限界効用はさらに2杯目よりは低くなっています。4杯目、5杯目になるともっと下ってきます。
このように一杯増えるごと(限界)に満足度(効用)が下ってくる(逓減)法則を限界効用逓減の法則とよぶんです。
学問的には、「財」(ビール)の消費量が増えるとともに、「限界」消費分(追加消費分)から与えられる「効用」(満足度)は徐々に小さくなっていく(逓減)という考え方です。
くまのプーさんも、ハチミツばかりじゃ飽きてしまうわけですね。
骨董品や宝石の例
つぎの例です。正倉院のようなとはいいませんが、大金持ちの古い蔵にある骨董品や宝石を順に持って帰っていいよ、あなたにあげると指名されたような場合です。
あなたは当然に骨董品や宝石の金銭価値が鑑定できる人物だとします。
どれから持ち出しますか?
当たり前ですが、最大の値打ちがある(効用が高い)ものから合理的に選んで行きます。
次にもう一つ持ち帰っていいよとなれば、2番目に高い効用の品を持ち出すことになりますね。
これを続けていくと効用はどうなるのでしょう。
1番目の効用がある物≧2番目の効用がある物≧3番目の効用がある物≧4番目の効用がある物≧・・・
となっていくはずです。後になるほど値打ち(効用)は1回ごとに下っていきます。
これが限界効用逓減の法則の例です。
それでは次の例は「バケツの水」です。
バケツの水の例
地域で日照りが続いたため断水に見舞われました。
緊急事態で水の補給車からバケツに水を分けてくれます。
ありがたいことです。
バケツ一杯づつもらえるのですが、その都度列に並んで待つ必要がありますので、もらった水は大切な順に使うことになります。
この時バケツの水は、自分(または家族)にとって効用が大きい順に使われるのではないでしょうか、たとえば次のような順ですね。
1番目の用途は「まず自分(家族)が飲む」、つぎに「炊飯や料理に使う」、つぎは「シャワーや体を洗うのに使う」です。
さらに「洗濯用水に使う」「掃除用水に使う」「トイレの流しに使う」、また「畑の野菜に使う」「流しや排水に使う」などの用途順位があります。
これらはバケツ1杯の水の限界効用の高い順になっています。
同じバケツ一杯の水でも、合理的に人が考えて選んでいくのは、効用が高い順です。
この効用は徐々に減っていきますので、限界効用逓減の法則になっています。
さて第1法則とペアで考えるべきなのが、実はゴッセンの第2法則というもので、限界効用均等の法則というのがあります。
これはどんなものでしょうか?
これらも理解しておくことで第一法則の限界効用逓減の意味を奥深く理解できてきますよ!
限界効用均等の法則とは?
人が最大の満足を得ようとするときには、各財の限界効用(満足度)を支払い単位(円など)で除した比がいつも均等になるように行動するということです。
ひらたくいえば、各財の限界効用(満足度)をお金に換算して、この値が均等になる時が限界効用が最大化するという意味なんですね。
価格で考えたそれぞれの限界効用が均等するという例を上げてみます。
さきほどのビヤホールで生ビールジョッキ一杯とソーセージ一皿を追加オーダーしていきます。
予算も当然ありますので、やがてジョッキ一杯を追加するか、ソーセージ一皿を追加するかの選択になるでしょう。
お客は最後にはビールの注文をやめてソーセージに変えるか、またはソーセージをやめてビールにするかとなります。
お客がビールの注文をやめて失う満足よりソーセージを追加して得る満足のほうが大きいと考えると、お客は満足を最大化するためにはソーセージをオーダーするはずです。
このように「ビール一杯の注文をやめたときに減る満足」と「その同じ効用分のソーセージを注文して増える満足」が均等になるときに最大の満足(効用)が得られることを限界効用均等の法則といいます。
もちろんこの比較は価格面で同じという前提が必要なので、さきほど述べたように効用をその価格で割った1単位で考えるようにします。
ちなみにゴッセンの第3法則もあるんです。
これは「財の価値(価格)は、その需要量が供給量を超える時に成立する」というものです。
それは当たり前といえば当たり前ですが、買手が出てこないと商品の価格は形成されないというが第3の法則となっています。
さて第1の限界効用逓減の法則に戻ります。
この法則は多くの財やサービスにほとんど適用されます。
したがって消費量を横軸にとり、効用の大きさを縦軸にとったグラフでは、効用曲線は上に凸型の右上がりのカーブ上にあります。
このカーブは横軸の消費単位が進むと徐々にこの曲線の勾配は徐々に鈍化して水平に近づいていくのです。
ここで重要なことですが、このように早期に需要が鈍化してしまうのを防ぐことが必要です。
それには常に需要を喚起させていくような刺激や行動を与え続けて行くことなのです。
財やサービスへの「刺激や魅力の注入」や「革新的アイデア提示」などのマーケティング活動が必須となります。
また一つの財ではなく、二つの財の効用を考えることも現実的に必要となります。
二つの財の効用
効用を二次元のグラフに描いて数理的な解を求めることが、ミクロ経済学理論ではよく採用されています。
とくに毎日消費する紅茶やコーヒーなど、複数の財の消費性向をグラフにして考えるケースが見られます。
すなわち同じ予算枠内の例なら、紅茶の消費が増えれば、コーヒーの消費は減ります、逆にコーヒーの消費が増えれば紅茶の消費は減るわけです。
この両者の組み合わせで、最大の効用を得られる点はどこかを探すわけです。
この二つの財(紅茶とコーヒー)の組み合わせの効用をプロットしたグラフを無差別曲線といいます。
横軸にコーヒーの消費量をとり、縦軸にたとえば紅茶の消費量をとります。
そして予算で紅茶だけ購入できる消費量を縦軸上にプロットします。
また逆にコーヒーだけを購入できる消費量を横軸上にプロットしてこの二つのプロット箇所を直線で結びます。
この直線と先ほどプロットした無差別曲線を接するようにすればその接点が、紅茶とコーヒーの組み合わせの最大効用点を示していることになります。
ここまでの説明の中で、原則とすべき前提が3つあります。
ここが崩れると間違った理解になってしまうのでご注意を!
3つの前提
①財(ビールなど)と現金価値を間違わないこと、これはビールには銘柄ごとに個別に異なる価格があります。
この価格は財とは別次元であることを間違わないでください。
②あくまで同じ人の消費を想定してます。
人が変れば効用も人それぞれで異なってきますので、同じ人が同じ財でと考えてください。
③個人の効用は二つの財の効用であらわされたグラフとなりますが、この二つの財はあくまで消費すればするほど効用が高まる財(Goods)を対象としています。
もっとも限界効用の満足度は逓減していきますが。
限界効用逓減の法則事例
経済学では、限界効用逓減の法則では財やサービスを利用するにしたがって、その満足度は(効用)低下し続けていきます。
最初は新鮮であって、効用の喜びが最大であったとしても、時間の経過と共に新しさは色あせて陳腐化していきます。
少しおおげさですが世の中の森羅万象はこの原理から逃れられないのかも知れません。
このような限界効用逓減の例を分野別にあげてみます。
まず企業などのビジネス面からです。
ビジネス
企業のビジネス面では、ドル箱のサービスやブランドも売れて行くままに放置しておくと、マンネリ化や消費一巡で売り上げが落ちていきますよね。
でも、常に革新をし続けているような、最先端の企業や江戸時代から100年超つづいている老舗企業があります。
これらの企業は自主的かつ歴史的にこのことに気付いていて、社員一丸でマンネリ危機を越えて発展してきています。
このような企業では、この限界効用逓減の道に入って 行かないような工夫がなされているのです。
また広告宣伝でもテレビ放映回数を単に増やしたり、紙のパンフやちらしを同じような内容で配布しつづけても、売り上げや引き合いの伸びは鈍化していきますよね。
「またこのチラシか。」ゴミ箱ぽい!となるわけです。
以前は、100万円の広告で200万円は稼げていたのに、今は同じ100万円でも稼ぎはやっと100万円のように下ってきています。
なので、内容を変えたり、メディアを変えたりするわけです。
今やほとんどの企業は紙からWEB媒体に切り替えたりとビジネスモデルの切り替えに躍起ですね、これがイノベーションであり公正な競争なのでしょう。
通信業界では、もうNTTの固定電話やFAX需要はWEBを使った通信手段に移行していっています。
旧態の業界は限界効用逓減の法則に入ってしまいました。
またスマホの普及によるSNSとの連携策などが、競争的に導入されて、各社は限界効用逓減の法則の延命を必死で計っているように思えます。
これは厳しいビジネス社会だけではなく、個人の恋愛や夫婦生活にも、この限界効用逓減の法則が適用されます。
恋愛
恋人との恋愛ですが、最初はデートを重ねるごとに高揚感があって、ひょっとして限界効用逓増なのではと思うこともあります。
でも、同じようなデートの内容を重ねていてはお互いに飽きがくるようになって、限界効用逓減の法則が適用されてしまいます。
交わす言葉にも張りや元気がなくなりコミュニケーションの頻度も少なくなってきて、やがては自然と別れ話になっていくこともありますよね(;´∀`)
残念・・。
恋愛関係にも定期的なイノベーションを!
またお付き合いがヒートアップしすぎて、セックス関係を持ったとしても、逢瀬を重ねるごとにやがて「飽き」がくることもあるでしょう。
(まあ、あくまで一般論ですよ)
でも人間の一生はよくできていて、たとえば子どもに恵まれると、これはまたお互い新鮮さと感動を感じて効用(満足感)の高い生活に数年間は入れます。
やがて子どもが大きくなってくると、夫婦の間に「飽き」や「惰性」が入ってくることも多いようですが、ここでまた限界効用逓減の法則に入ります。
なので、ここでも夫婦間でのイノベーション的な行動があえて必要となってきます。
たとえば、お互いに老化方向を認め合って、減点方式から加点方式で相手を評価するとかです。
身近な夢や目標を作って共有するとか、お互いに誤るときは素直に謝り過去のプライドは忘れるとか・・も必要ですよね。
過去のマンネリの生活、家と会社の往復だけや毎晩の営業のお付き合いや日曜のゴルフなどは止めましょう。
夫婦間のコミュニケーションの場を増やすという身近なイノベーションが必要なんです。
これを続けていくことで世間では大多数が落ち込んで行く限界効用逓減の法則を乗り越えて客観的に自分たちを悠々と見下ろしていけるようにでしょう。
それではスポーツの世界ではどうでしょうか。
スポーツ
スポーツや趣味、勉強なども同じですね。
やり始めた時は知らないことばかり。
そうすると練習するたびに力が付いて、ぐんぐん伸びていきますよね。
自分でももっとも楽しい時です。
やがて同じ事をやっている他人と比べたりして、その実力差を感じて、練習量を増やしていくわけです。
しかし、暫くするとど〜〜〜もやればやるほど成長の喜びが徐々に少なくなって行きます。
限界効用逓減の法則に入っちゃうわけです。
勉強でも、最初の塾に行ったときは偏差値もどんどん上がりますよね。
だって、それまではまともに勉強してなかったりしますから^^;
でも、その内惰性で塾に行くようになって、偏差値も伸び悩んでマンネリ化します。
つまり、限界効用逓減の法則に入っていくわけです。
食べ物やグルメでも同じでしょう、最初は美味しいと最大に感じるものです。
でも、店や新しいグルメの食べ歩きを重ねていくと、だんだんに食に対する意欲が低下してきますよね。
飽きが来るわけです。
こうなったらなにかイノベーション策を考えて実行しないと、限界効用逓減の法則の上を走っているだけで大きな成果も得られないでしょう。
これ、食べる側なら別の店に行けばいいですけど、お店側からしたら、お客さん減っちゃうわけで、何とかしたいところです。
だから新商品をシーズンごとに出したりするんですね。
スポーツなら練習方法や心の持ち方などを変えて行くイノベーションが必要です。
たとえば尊敬する先輩に練習方法や上手くなるヒントをいただくとか、ライバルを意識して作り、さらに練習を重ねて成長することで乗り越えられるのではないでしょうか。
イノベーションや刺激を考える必要がありますね。
さきほど食やグルメのお話しをしました。
飲食一般の店舗ではどうでしょうか。
飲食
ビールの限界効用については前述しましたが、これは飲食すべてに共通のことで、飲食の回数や量を増やすほど満足感は少なくなっていきます。
なにか刺激がないと駄目ですね、たとえば飲み仲間が新しい話題を持ってきたとか。
合コンのようにお目当ての女性が参加してきたとかのイノベーションがあれば当面の限界効用は維持できますね。
スイーツ食べ歩きのブログや、寿司三昧、焼肉三昧のグルメレポートでもなんとか限界効用逓減の法則と仲良くなってドンドン感動レポートをリリースしたい所です。
では、マスコミや紙媒体の広報活動についてはどうでしょうか?
広告
ビジネスのところでも書きましたが、今やWEB(いやテレビ画面も)はバナー広告などでいっぱいです。
このままではバナー広告ビジネスも限界効用逓減のど真ん中になりそうですね。
なので、動画広告とか色々と工夫がされてますし、これからもどんどん進んでいくでしょう。
ウェブの世界は進化が早いので楽しみです。
次に、限界効用逓減の法則での失敗例をいくつか挙げてみます。
もっとも失敗例というには、何も手を打たなかったために生じた失敗です。
限界効用逓減の法則の失敗例
電化製品会社
米国西海岸のセンスあるデザイン、時代を切り裂くような機能、アップルは世に出す商品がことごとく当たってきたように見えていました。
iPadの「軽くて美しいデザイン」と外観は評価されています。
でも、こと機能面で他社を抜きさるような驚き感は出てきていません。
とくに2015年くらいから。
どうしたのでしょうか、どっぷり限界効用逓減の法則に入ってしまったようです。
(僕はスティーブ・ジョブズがいなくても、イノベーションを起こせる会社だと信じてますが)
商品企画や戦略のイノベーションがなく、腕時計やサングラスなどの端末に平板な3DやAiなどの機能を付け足したケースがほとんどですね。
日本のトップランナーだったSONYも同じような地位に甘んじていますね、失礼かも知れませんが、利益幅を考えるなら失敗事例といわれても仕方が無いでしょう。
商戦は今までの店舗から、すでにネットに映っています。
レンタルビデオ店
今、日本の各地で蔦屋などのレンタルビデオ店が閉店していっています。
売り上げが落ちているので。
前は売り上げを増やすには店舗を増やせば良かったんですけどね・・。
やはり上手く行ってないのは、限界効用逓減の法則がからみます。
また書店もそうですね、いずれもamazonなどの情報空間に食われていっています。
丸善などの老舗もジュンク堂などに飲み込まれていきましたが、ジュンク堂はAmazonに勝てるのでしょうか。
地方の商店街や生鮮3品の個人商店はどうでしょう。
大型店のショッピングセンターや百貨店にいちどき顧客を奪われました。
ここで売り上げが落ちると大手は撤退してしまいます。
いわゆるシャッター通りの誕生です。
従来のままのフランチャイズ方式一辺倒で店舗にこだわったレンタルビデオ店や書店は、古代の気候変動で適者生存ができなかったマンモスが滅んで行く悲劇を歩んでいるようです。
では、最近ブームの国内旅行やインバウンドブームなどのホテルやツーリスト業界はどうでしょうか?
ホテル業界
トリバゴや楽天トラベル、ブッキングドットコムなどの情報空間では空室の準備はカンタンです。提携サイトをたくさん束ねていれば良いだけですから。
いや、ホント、ネット企業ってローリスクですよね。
上手く行けばリターンも大きいですし。
もし、ホテル作るとかなると、リスクデカイですから中々手が出ませんが、ネットだったら誰でも手を出せますよね。
トリバゴみたいなサイトを作らなくても、単純にブログでもサラリーマンの何倍も収益をあげられるわけで。
いい時代ですね。
限界効用逓減の法則(げんかいこうようていげんのほうそく)に話を戻します。
少し根源的なお話しをしてみますね。
なぜ満足度は低下していくのか?
低下する元凶は経済学の法則というより、人間の持つ本来的な、また根源的な資質のためといった方がわかりやすいでしょう。
飽きる、飽きられる。
新鮮さがなくなる、感じられなくなる。
驚かない、驚きがなくなった。
ビジネスであれ、何であれ、工夫もせず、同じ行動を繰り返すなら、徐々にマンネリ化し、業績は右肩下がりになります。
「限界効用逓減の法則」なんて難しい言葉を使わなくても、皆皮膚感覚で理解してることです。
THE マ・ン・ネ・リ!
でもこれ、どこにでも当てはまると思いますか?
限界効用逓減の法則はどこにでも当てはまるのか?
この「限界効用逓減の法則」は、経済活動、マーケティングの世界、ビジネスの世界のみならず、人間生活の中のあらゆる場面に当てはまると言われています。
(一般的には、そうなってますが、個人的には何にでも当てはまるわけではないと思ってます。その理由はまとめで!)
当初の効用が瞬間的に逓増すると見えるような場合(例えば恋愛の当初のケース)があります。
でも少し長いスパンで考えると、同じ刺激や変化を与えているだけでは限界効用は必ず逓減していきます。
でも、少し視点を変えると、満足感の感度が人によって違うという法則もあるのです。
ヴェーバーの法則
ウェーバーの法則って、ドイツ人のウェーバーさんが実験したからウェーバーの法則です。
簡単に言うと、お金持ちになるほど、1万円の価値が減ったように感じるってことですね。
小学生の時って、1万円て大金だったじゃないですか?
久しぶりに家に遊びに来た親戚の叔父さんが、「はい、おこずかい。」とか言って1万円くれたらこの世のもの何でも買える気がしましたよね。
「俺、超お金持ち!」て思ったものです。
でも、大人になってからの1万円もらっても、この世のもの全部変える気にはならないわけです。
もう10万円くらいくれないかな〜。なんて考えやったりするけですね^^;
それは、毎月何十万円かお給料もらってるからそうなるんです。
これも、年収200万円の人の1万円より、年収10億円の人の1万円のほうが、嬉しさ減るけいこうにあるんですね。
これが、ウェーバーの法則です。
実際にはウェーバーさんは重りの実験をしたんですが、要は今言ったようなことです。
さらに限界効用逓減(げんかいこうようていげん)の法則について、理解を深めていきましょう。
知識だけ増えても使えないと意味ないので、応用例を紹介していきますね!
限界効用逓減の法則の応用例
応用例をいくつか挙げてみました。
給与
給与を支給する立場の場合ですが、社員によってはお金の価値の程度感覚はさまざまです。(さきほどのヴェーバーの法則)
年収300万円の社員に30万円年収アップのケースと、年収1000万円の上位職に同じ30万円アップする場合、年収の低い方が大切にして喜んでがんばってくれそうです。
逆に年収が高ければ高いほど、感動や感謝もなしで簡単に消費してしまう傾向にあるわけです。
(もちろん個人によりますよ!)
生活保護受給者であったなら、もっと大切に使ってくれるでしょう。
しかしたくさん支給したりするとその限界効用はすぐに逓減されてしまいます。
給与支給では各人の効用が最大になるようにバランスをとることが大切のようです。
また社員の労働時間への捉え方も地位や所得で違ってきます。
いつも生活ぎりぎりの平社員では1時間500円でも良いので残業するでしょう。
一方主任レベルだと土日出勤なども入れて考えるので、1時間くらいなら断るかもしれません。
このように立場の違いで限界効用もちがいます。
上手く限界効用の逓減の法則にならないように、少しでも工夫、応用をしていきましょう。
つぎに商品やサービスなどのマーケティングについて説明します。
マーケティング
例えば、商品企画で商品の売れ行きが限界効用逓減の法則で伸びが鈍ってきたような場合、その商品の売れ行きを刺激できる広報が必要です。
よく見かけられたのがグリコが昔から子どもの駄菓子で実施していた「おまけ」などがあります。
1個よりは2個、2個よりは3個買ったほうが、めざす景品が手に入りやすいという刺激です。
ある意味で現在隆盛を極めているポイントカードなどで行っている「ポイント10倍デイ」の設定なども、限界効用が逓減している場合は有効なのでしょうね。
まあ、マーケティングだ〜!と難しく考えることはなくて、マンネリしちゃったからどうしようか?と考えるだけの話です。
マンネリしたからプレゼントしよう。
プレゼントは何が良いかな?
て、恋愛で考えるのと同じことです。
あのキリン麦酒を朝日ビールがシェアで追い抜かした「ドライ」の大ヒット、また大阪のユニバーサルスタジオジャパンが起死回生で打ったイノベーションと言われる打開策もあります。
普通酒の製造をやめて高級酒の大吟醸「獺祭」(だっさい)がヒットしたのもイノベーションの好例です。
あらゆる財やサービスにはマーケティングがつきものです。
限界効用逓減にならぬような、マーケティングには応用をきかしたイノベーションや刺激策が必要です。
恋愛で考えるとホント分かりやすいですよ。
マンネリマンネリとよく言いますし。
恋愛
すこしくどいですが、最初好きになったときは24時間好きで好きでたまらなかった恋人同士でした。
しかし何回か付き合っているうちに、ドキドキ感を感じなくなってきます。
これが限界効用逓減の法則のはじまりです。
ここで応用を利かしたイノベーションや刺激行動が必要となってきます。
お互いの誕生日、お互いの友達との交流、ファーストキスなどの記念日デート、小さなハイキングから遠隔地への旅行、いっしょに考える結婚準備のイベント参加、ご両親への軽いあいさつ・・などなど。
これらの「てこ入れ」でマンネリから脱出でき、継続的で新鮮なお付き合いが続くことになるでしょう。
応用は個人々で好きずきがありますので、工夫してください。
こう考えると、ちょっと面倒なのは結婚生活かもしれないですね。
日常的な積み重ねの結果ですのでイノベーションの導入は難しいと考える方が多いでしょう。
だったらイノベーションというより、単純接触効果とか考えたら良いので、全然やりかたはありますけど。
パブルフの犬なんかも、上手く使えばいいわけです。
つまり、会う度にパートナーを喜ばせるような言葉をかけたり、態度をするんですね。
そしたら、こちらの顔を見ただけで、幸せホルモンが出るようになりますから、別にイノベーションなど起こさなくても、良い夫婦関係を維持できるんですね。
というか、夫婦は仲いいのが当たり前で、仲悪のが変だと思ったほうがいいですよね。
不倫とか当たり前だと思ってるバカがいますが、それはテレビの見過ぎです。
そんな変な情報に触れるのはやめときましょう。
ただ、いまは限界効用逓減の法則について説明してるので、一応マンネリ打開の話をしていきますね。
テレビ的には、子どもができたりバタバタしている時代はいいのですが、だんだんとお互いが飽きてきて、コミュニケーションが取れなくなっていくのが普通だそうです。
そこで惰性の夫婦生活からセックスレス夫婦となり、危機が訪れることもあるそうです。
(個人的にはそうは思いませんけど、たしかにそういう人もいますね)
まさに限界効用の逓減の法則にはまりますので、こういうことを感じたときは、前に説明したように応用を効かしてみましょう。
この法則を乗りこえていく意識革命やイノベーションを夫婦でやってみるわけです。
人間、年を重ねると、お互いの一般的な魅力(容貌や体型、センスなど)も下り坂になることもあります。
そんな時はお互いを尊重して「良いところだけを見る」「相手をリスペクトする」「ありがとうやごめんが平気で言える」ような雰囲気作りがポイントになります。
ご夫婦でいろいろ工夫してみましょう。
きっとイノベーションができて持続的な家族生活が楽しく過ごせるようになります。
共通の理想の未来を思い描くと良いですよ。
この未来に向かって、一緒に進んでいく仲間!となるんですね。
一緒に手を取り合って歩いていこう!と。
OKでしょうか?
飲食の店舗についても説明しますね。
飲食
お客さんの立場で限界効用逓減の法則を考える場合と、店舗側の立場で限界効用逓減の法則を考える場合があるでしょう。
また取り扱い飲食によったり、単一店舗なのかFC店舗なのか、大型店舗なのかなどの形態やカテゴリーによっても限界効用逓減の法則はそれぞれに異なってきます。
スイーツなどのケーキ店なのか、イタリアンやフランス料理店なのか、また中華料理店なのか喫茶店やビヤホールなのか、すし屋や日本料理店なのかなど。
たくさんの店舗があり、それごとに限界効用逓減の法則に勝つような応用が利いたイノベーションを考える必要があります。
でなければお店は惰性のままで衰退していってしまいますので。
プロ意識を持って、やっていきましょう!
さて、今回は限界効用逓減の法則について確認して解説してきました。
最後にざっと復習していきましょう!
限界効用逓減の法則まとめ
今までこの限界効用逓減の法則をご説明してきましたが、もう大丈夫ですね!
いかにも頭の固い学者がつけそうな小難しい名前ですが、「だんだんマンネリしてくよ〜!」ってだけの話です。
限界効用逓減の法則は世の中のほとんどすべての事象に当てはまります。
要は「飽きるよ」って話ですから。
売り上げや人間関係がどんどん悪くなっていくような時には、打ち手として刺激策を考えたりの、ある意味イノベーションを実行していくことが王道です。
また店舗などの物理空間が戦場であった時代から、今はインターネットなどの情報空間に主戦場が移っています。
限界効用逓減の法則で顧客が飽きないで継続的に呼び込めるようなイノベーション、ビジネスモデルをぜひ、応用考案してみましょう。
その際は、商品の持っている価値をブレインダンプしてみると、以外な切り口を発見できたりしますよ。
北極圏に住んでる人に冷蔵庫売るには、「食べ物が凍らないようにって切り口で!」って話ありますが、まさにそれです。
また100年以上続いている伝統的な商店や事業なども各地にあって、健闘されています。
これらの応用例からも学ぶことができます。
こういう老舗は量的拡大はしないところが多いですね、学ぶべきです。
というか、変に拡大路線にいかないからこそ、上手く言ってるわけですが。
さて、長々と限界効用逓減の法則についてお伝えしてきました。
間違いがあるといけないので、「何にでも当てはまるって」一般論を伝えてきましたが、個人的には「そうとも限らない」と思ってたりします。
例えば、子育て。
僕は去年の4月に第一子を授かったんですが、生まれた初日よりも2日目のほうが可愛いし、2日目より3日目・・・とどんどん可愛くなるんですね。
6ヶ月より7ヶ月目、1歳より1歳4ヶ月(今)と、マンネリなどする事なくどんどん可愛くなる。
「それは自分の子供だからだよ〜!」って言われそうですが、その通り。
成長が早いので、イノベーションが起き続けているといえるかもしれませんが、それよりも、毎日大事に育てているので、その分だけ愛おしさが増すのだと思います。
これは夫婦生活にも言えると思いますし、人間関係に限らず、ものに対しても言えると思っています。
世界中の人が知っている稀代の名作「星の王子さま」ってありますよね。
その中で王子様は自分の星にある一輪のバラを一生懸命大事にしてるんですね。
この世にあるのは、そのバラだけだと思っていたので。
なので、、地球に来て、沢山のバラが咲いているのを見てショックをうけるんです。
・・はじめは。
でも、大切なことに気がつくんです。
キミたちはキレイだね。だけど、まだ中身がない。
だれもキミたちのために死のうとは思わないはずだからね。
もちろん、通りすがりの人が見たらボクのバラも君たちもまったく同じに見えるだろう。
だけど、キミたちを全部合わせたとしても、ボクのバラにはかなわない。あのバラは、たった一輪でも、キミたち全員より重要なんだ。
なぜなら、ボクが、水をやったり、ついたてを立てたり、ガラスの器をかぶせたりして世話をしたからだ。
ボクは、あのバラのために、毛虫だってやっつけてあげたんだ。
(中略)
不平不満だって聞いてあげたし、自慢するのにだって付き合ってあげた。
バラが、黙りこくっても、我慢してそばにいてあげた。
だって、ボクのバラだからね。
引用:『星の王子さま』(ゴマブックス株式会社)
手をかけるほど、大切にすればするほど、より大切になっていく。
これもまた真実です。
確かに、マーケティングに関しては、お客さんが飽きることを前提に戦略を立てるのが正解だと思います。
でも、自分自身の価値観にまで限界効用逓減の法則がかかる事を前提にする必要はないですし、それをしだすと、物欲の権化のようになりかねません。
これでは幸せから遠ざかってしまいます。
だからこそ僕たちは、王子様のように、一輪の薔薇を大切に出来るような生き方をしたいですね。